ピロリ菌は明らかな発がん物質なのか?

medium_4369321181
photo credit: Rétrofuturs (Hulk4598) / Stéphane Massa-Bidal via photopin cc

WHOによるピロリ菌の発がん物質認定

今から20年ほど前の1994年に、WHO(世界保健機構)の下部機関である国際がん研究機関が、ピロリ菌を「明らかな発がん物質」として認めました。

WHOが明らかな発がん物質を認定する基準は大変厳しく、肺がんにおける喫煙や肝臓がんにおける肝炎ウイルスと同様な評価を与えたとして、世間を騒がせました。

動物実験による検証が不十分であったにも関わらず、WHOがピロリ菌を明らかな発がん物質と認めたとして、当時の日本では異論が飛び交ったようですが、その後日本でのピロリ菌に関する研究が、WHOの発表を裏付ける格好になりました。

ピロリ菌感染から胃がん発症まで

ピロリ菌感染が長期間にわたって続くと、胃の粘膜が萎縮して、一部分は腸上皮化生に進展し、分化型胃がんを引き起こしやすくなります。

腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)とは、上皮組織の変質(化生)であり、通常、胃に腸と似た組織を発生させるものです。

当初は、変性した上皮は小腸に似たものとなり、後の段階では大腸に似たものとなります。

ピロリ菌と胃がんの関連性がわかるまでは、日本では萎縮性胃炎や腸上皮化生は国民病とも呼ばれ、加齢現象と考えられていました。
しかし今では萎縮性胃炎や腸上皮化生はピロリ菌の感染により生じることがわかってきました。

逆に、胃の粘膜に萎縮性胃炎が見られなければ、分化型胃がんが発症することもなく、これによりピロリ菌感染と胃がんの発症は明らかに関連性があることがわかりました。

ピロリ菌による胃がん発症のメカニズム

畠山昌則氏らの研究で、ピロリ菌が胃の粘膜に接触することで、細胞の情報伝達に係る酵素の活性が認められました。

これにより、ピロリ菌は細胞に増殖因子と同様の刺激を与えていること、つまり発がん機構に関連していると考えられるようになりました。

また、この研究を受けて、細胞の遺伝子レベルでの検討の結果、ピロリ菌に感染した胃粘膜に現れる酵素がガン抑制遺伝子の変異を促進することで、発がん機構が動き出すの可能性が高いことが見出されました。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする